1結論
日本語で使えます。ただし「どこを使うか」で体験がまったく違います。
日常的に触る画面はほぼ日本語です(未翻訳4%)。一方で管理・設定画面は英語が大量に残ります(管理画面74%・個人設定90%が英語のまま)。つまり「使う人」は日本語で足りるが、「設定する人」は英語を読むことになります。
.one 等)を除いた数。除外理由は第5章。2どう測ったか(そのまま再現できます)
「日本語対応」を名乗るかどうかは、実態を表しません。そこで公式リポジトリのロケールファイルそのものを突き合わせました。OpenProject は翻訳を Crowdin で管理し、結果を config/locales/crowdin/<言語>.yml としてリポジトリに置いています。
やったことは単純です。英語ファイルの全キーを平坦化し、日本語ファイルの同じキーと比べて「値が英語と一字一句同じなら未翻訳」と数えました。翻訳者が訳さずに英語を残した項目は、この方法で機械的に拾えます。
# 比較に使ったファイル(タグ v17.6.0 で固定)
config/locales/en.yml ← 英語・サーバー側
config/locales/js-en.yml ← 英語・画面側(JS)
config/locales/crowdin/ja.yml ← 日本語・サーバー側
config/locales/crowdin/js-ja.yml ← 日本語・画面側(JS)
# 取得(誰でも同じものが手に入ります)
curl -sfL https://raw.githubusercontent.com/opf/openproject/v17.6.0/config/locales/crowdin/ja.yml
数えているのはロケールファイルの項目であって、画面上の面積でも重要度でもありません。訳されていない1項目が画面の主役かもしれないし、訳されている100項目が誰も開かない設定かもしれない。「英語のまま残っている項目数」以上のことは、この数字からは言えません。だから第6章で「どこに集中しているか」を別に数えました。
3言語別の翻訳率 ─ 日本語は主要10言語中9位
同じ母数(5,515項目)で10言語を測りました。
| 言語 | 訳済 | 訳済率 | 英語のまま |
|---|---|---|---|
| 中国語(簡体) | 5,428 | 98.4% | 87 |
| 韓国語 | 5,417 | 98.2% | 98 |
| ポルトガル語(ブラジル) | 5,376 | 97.5% | 139 |
| スペイン語 | 5,372 | 97.4% | 143 |
| イタリア語 | 5,352 | 97.0% | 163 |
| ロシア語 | 5,344 | 96.9% | 171 |
| フランス語 | 5,302 | 96.1% | 213 |
| ドイツ語 | 5,297 | 96.0% | 218 |
| 日本語 | 4,353 | 78.9% | 1,161 |
| オランダ語 | 3,343 | 60.6% | 2,172 |
同じ東アジアの中国語98.4%・韓国語98.2%に対して、日本語は78.9%。約20ポイントの差があります。「アジア言語だから後回しにされている」という説明は、この数字では成り立ちません。
4Redmineと比べる ─ 19ポイントの差
OpenProject はもともと Redmine から分岐したプロジェクトです。同じ方法で Redmine を測りました。対象は現行の最新リリース 7.0.0(2026-06-30)です。
7.0.0 の config/locales/{en,ja}.yml。対象1,382項目中1,355項目が訳済、英語のまま27項目。OpenProject=上記の通り。※項目総数が違う(Redmine 1,382 / OpenProject 5,515)のは、OpenProject の機能が多いためです。率での比較が妥当ですが、「英語のまま残る絶対数」で見ると差はさらに大きくなります。
5最初の集計は間違っていた(訂正の記録)
最初に数えたとき、日本語ファイルには英語に存在するキーのうち77項目が「存在しない」という結果が出ました。翻訳漏れに見えました。
ところが中国語も韓国語も、まったく同じ77項目でした。3言語で完全に一致するのは偶然ではありません。中身を見たら、77項目すべてが .one で終わる単数形キーでした。
.one を持ちません。欠落として数えれば、日中韓すべてを不当に低く見せることになります。そのため本記事では複数形キーを母数から除外しました。
この訂正で日本語の数字は 77.7% から 78.9% に変わりました。差は小さいですが、間違った母数で「他言語より劣る」と書けば、それは測定器の欠陥を対象の欠陥として報告したことになります。公開前に潰せたので経緯ごと残します。
6英語が残るのはどの画面か
ここが実務上いちばん重要です。1,161項目がどこに集中しているかを、キーの第1階層で分類しました。
| 領域 | 何の画面か | 英語のまま | 総項目 | 未翻訳率 |
|---|---|---|---|---|
departments | 部門 | 21 | 21 | 100% |
workflows | ワークフロー | 18 | 18 | 100% |
roles | ロール(権限) | 9 | 9 | 100% |
my_account | 個人設定 | 101 | 112 | 90% |
admin | 管理画面 | 238 | 321 | 74% |
custom_fields | カスタムフィールド | 37 | 59 | 63% |
users | ユーザー管理 | 60 | 106 | 57% |
types | 作業種別 | 31 | 56 | 55% |
projects | プロジェクト設定 | 50 | 116 | 43% |
settings | 各種設定 | 45 | 117 | 38% |
activerecord | 項目名・エラー文 | 145 | 632 | 23% |
work_packages | 作業パッケージ | 14 | 63 | 22% |
js | 日常操作の画面 | 32 | 894 | 4% |
つまり立ち上げる人だけが英語を読み、使う人はほぼ日本語で済むという構造です。
7実際に英語で出るラベル
抽象的な率だけでは伝わらないので、日本語ロケールに英語のまま入っている実物を挙げます。いずれも ja.yml の中身そのものです。
my_account.access_tokens の中でも「アクセストークン」「操作」「有効期限」は日本語になっています。節ごと未訳なのではなく、項目単位でまだらに残っているのが実態です。8ドキュメントの言語
製品本体とは別に、公式ドキュメントの言語も確認しました。2026-08-03 時点で openproject.org のドキュメントで選べる言語は次の5つです。
9料金とエディション
日本語の話とは別に、選定でつまずきやすいのが最低ユーザー数です。
| エディション | 価格 | 最低ユーザー数 |
|---|---|---|
| Community(セルフホスト) | 無料 | — |
| Enterprise cloud / Basic | €5.95 / ユーザー / 月 | 25 |
| Enterprise cloud / Professional | €10.95 / ユーザー / 月 | 25 |
| Enterprise cloud / Premium | €15.95 / ユーザー / 月 | 100 |
| Enterprise cloud / Corporate | 要問い合わせ | 250 |
25ユーザー未満のチームは、そもそも Enterprise cloud を契約できません。「安いプランから始めて人数が増えたら上げる」という買い方ができない構造です。小さいチームの選択肢は Community版を自分で立てるか、誰かに運用してもらうかのどちらかになります。
※オンプレミス版も同じ価格体系です。年数を長くまとめると割引があります(例:2年で5か月分無料)。金額はユーロ建てのため、円換算は為替で変動します。
10で、選ぶべきか
この記事は OpenProject を日本語マネージドで提供しているサービスのサイトに置いていますが、売り込みのために数字を良く見せることはしません。実測から言えることはこうです。
翻訳は Crowdin 上で継続的に更新されます。本記事の数値は v17.6.0・2026-08-03 時点のものです。第2章のコマンドをそのまま実行すれば、いつでも最新の値を自分で確かめられます。古い数字を信じるより、測り直してください。
設定側の英語を、こちらで引き受けます
Projo は OpenProject を日本語・フルマネージドで提供します。英語が残るのは管理・ワークフロー・ロールなど「立ち上げと運用の設定」で、そこはまさに私たちの担当範囲です。
事前登録するよくある質問
OpenProjectは日本語に対応していますか?
対応しています。ただし程度に差があります。2026-08-03 に v17.6.0 のロケールを実測したところ、対象5,515項目のうち日本語に訳されていたのは4,353項目(78.9%)で、1,161項目が英語のまま残っていました。日常的に使う画面は96%訳されている一方、管理画面は74%、個人設定画面は90%が英語のままです。
Redmineと比べて日本語化はどちらが進んでいますか?
Redmineです。同じ方法で Redmine 7.0.0(現行の最新リリース)を測ると日本語の翻訳率は98.0%(英語のまま27項目)で、OpenProject の78.9%(同1,161項目)とは約19ポイントの差があります。
日本語だけが遅れているのですか?
主要言語の中では日本語が明確に遅れています。同じ基準で中国語(簡体)98.4%、韓国語98.2%、スペイン語97.4%、ドイツ語96.0%でした。測定した10言語のうち日本語は9位で、下にはオランダ語60.6%しかありません。
どの画面が英語のまま残りますか?
管理・設定まわりに集中しています。実測では departments・workflows・roles の3領域が100%英語のまま、個人設定(my_account)が90%、管理画面(admin)が74%でした。逆に日常操作の画面で英語のまま残っているのは894項目中32項目(4%)です。
公式ドキュメントに日本語版はありますか?
2026-08-03 時点では確認できませんでした。openproject.org のドキュメントで選べる言語は英語・ドイツ語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語の5つで、日本語は表示されていません。今後出ないと断定はできません。
OpenProjectの料金はいくらですか?
Community版は無料です。有償の Enterprise cloud は Basic が1ユーザーあたり月額5.95ユーロで最低25ユーザーから、Professional が10.95ユーロ(同25ユーザーから)、Premium が15.95ユーロ(100ユーザーから)です。25人未満のチームは Enterprise 版を契約できません。
自分でも同じ数字を確認できますか?
できます。第2章に取得コマンドを載せています。en.yml と crowdin/ja.yml を落として、英語と値が一字一句同じ項目を数えるだけです。タグを v17.6.0 で固定すれば同じ結果が出ます。
出典
- OpenProject 公式リポジトリ(タグ
v17.6.0)のconfig/locales/en.yml/js-en.yml/crowdin/<言語>.yml— github.com/opf/openproject(取得日 2026-08-03) - Redmine 公式リポジトリ タグ
7.0.0(2026-06-30)のconfig/locales/en.yml/ja.yml— github.com/redmine/redmine(取得日 2026-08-03) - OpenProject 料金 — openproject.org/pricing(取得日 2026-08-03)
- OpenProject 公式ドキュメントの言語切替 — openproject.org/docs(取得日 2026-08-03)
本記事の数値はすべて上記ファイルから機械的に集計したものです。集計対象は「英語ロケールに存在する文字列キーのうち複数形キーを除いたもの」、未翻訳の判定は「日本語ロケールの値が英語と一字一句同じ」です。翻訳は継続的に更新されるため、時期によって数値は変わります。