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一次データ ・ 全キー実測

OpenProjectは日本語で使えるのか

「日本語対応」と書いてあるかどうかではなく、公式リポジトリのロケールファイルを全キー突き合わせて数えた。結果は78.9%。1,161項目が英語のまま残っている。中国語98.4%・韓国語98.2%・Redmine 98.0%との差と、未翻訳がどの画面に集中しているかまで、再現手順つきで公開する。

公開:2026-08-03 対象:OpenProject v17.6.0 測定日:2026-08-03

1結論

先に答え

日本語で使えます。ただし「どこを使うか」で体験がまったく違います。

日常的に触る画面はほぼ日本語です(未翻訳4%)。一方で管理・設定画面は英語が大量に残ります(管理画面74%・個人設定90%が英語のまま)。つまり「使う人」は日本語で足りるが、「設定する人」は英語を読むことになります。

OpenProject 17.6.0 日本語ロケールの実測
5,515対象項目
78.9%日本語に訳済
1,161英語のまま
9位主要10言語中
母数=英語ロケールに存在する文字列キーのうち、複数形キー(.one 等)を除いた数。除外理由は第5章

2どう測ったか(そのまま再現できます)

「日本語対応」を名乗るかどうかは、実態を表しません。そこで公式リポジトリのロケールファイルそのものを突き合わせました。OpenProject は翻訳を Crowdin で管理し、結果を config/locales/crowdin/<言語>.yml としてリポジトリに置いています。

やったことは単純です。英語ファイルの全キーを平坦化し、日本語ファイルの同じキーと比べて「値が英語と一字一句同じなら未翻訳」と数えました。翻訳者が訳さずに英語を残した項目は、この方法で機械的に拾えます。

# 比較に使ったファイル(タグ v17.6.0 で固定)
config/locales/en.yml            ← 英語・サーバー側
config/locales/js-en.yml         ← 英語・画面側(JS)
config/locales/crowdin/ja.yml    ← 日本語・サーバー側
config/locales/crowdin/js-ja.yml ← 日本語・画面側(JS)

# 取得(誰でも同じものが手に入ります)
curl -sfL https://raw.githubusercontent.com/opf/openproject/v17.6.0/config/locales/crowdin/ja.yml
この測り方の限界

数えているのはロケールファイルの項目であって、画面上の面積でも重要度でもありません。訳されていない1項目が画面の主役かもしれないし、訳されている100項目が誰も開かない設定かもしれない。「英語のまま残っている項目数」以上のことは、この数字からは言えません。だから第6章で「どこに集中しているか」を別に数えました。

3言語別の翻訳率 ─ 日本語は主要10言語中9位

同じ母数(5,515項目)で10言語を測りました。

OpenProject 17.6.0 言語別 翻訳率(実測)
中国語(簡体)98.4%
韓国語98.2%
ポルトガル語(伯)97.5%
スペイン語97.4%
イタリア語97.0%
ロシア語96.9%
フランス語96.1%
ドイツ語96.0%
日本語78.9%
オランダ語60.6%
母数はいずれも5,515項目(日本語のみ5,514=1項目が文字列以外のため対象外)。測定日 2026-08-03。
言語訳済訳済率英語のまま
中国語(簡体)5,42898.4%87
韓国語5,41798.2%98
ポルトガル語(ブラジル)5,37697.5%139
スペイン語5,37297.4%143
イタリア語5,35297.0%163
ロシア語5,34496.9%171
フランス語5,30296.1%213
ドイツ語5,29796.0%218
日本語4,35378.9%1,161
オランダ語3,34360.6%2,172

同じ東アジアの中国語98.4%・韓国語98.2%に対して、日本語は78.9%。約20ポイントの差があります。「アジア言語だから後回しにされている」という説明は、この数字では成り立ちません。

4Redmineと比べる ─ 19ポイントの差

OpenProject はもともと Redmine から分岐したプロジェクトです。同じ方法で Redmine を測りました。対象は現行の最新リリース 7.0.0(2026-06-30)です。

日本語翻訳率の比較
Redmine 7.0.098.0%
OpenProject78.9%
Redmine=タグ 7.0.0config/locales/{en,ja}.yml。対象1,382項目中1,355項目が訳済、英語のまま27項目。OpenProject=上記の通り。
Redmine 98.0%英語のまま残るのは27項目だけ。日本語コミュニティが長く手を入れてきた蓄積が数字に出ています。
OpenProject 78.9%英語のまま1,161項目。Redmineの43倍です。

※項目総数が違う(Redmine 1,382 / OpenProject 5,515)のは、OpenProject の機能が多いためです。率での比較が妥当ですが、「英語のまま残る絶対数」で見ると差はさらに大きくなります。

5最初の集計は間違っていた(訂正の記録)

最初に数えたとき、日本語ファイルには英語に存在するキーのうち77項目が「存在しない」という結果が出ました。翻訳漏れに見えました。

ところが中国語も韓国語も、まったく同じ77項目でした。3言語で完全に一致するのは偶然ではありません。中身を見たら、77項目すべてが .one で終わる単数形キーでした。

77項目の「欠落」 日本語の翻訳漏れが77項目ある翻訳漏れではない(仕様) 日本語・中国語・韓国語は単数と複数を語形で区別しません。Rails の i18n はこれらのロケールで .one を持ちません。欠落として数えれば、日中韓すべてを不当に低く見せることになります。そのため本記事では複数形キーを母数から除外しました。

この訂正で日本語の数字は 77.7% から 78.9% に変わりました。差は小さいですが、間違った母数で「他言語より劣る」と書けば、それは測定器の欠陥を対象の欠陥として報告したことになります。公開前に潰せたので経緯ごと残します。

6英語が残るのはどの画面か

ここが実務上いちばん重要です。1,161項目がどこに集中しているかを、キーの第1階層で分類しました。

領域何の画面か英語のまま総項目未翻訳率
departments部門2121100%
workflowsワークフロー1818100%
rolesロール(権限)99100%
my_account個人設定10111290%
admin管理画面23832174%
custom_fieldsカスタムフィールド375963%
usersユーザー管理6010657%
types作業種別315655%
projectsプロジェクト設定5011643%
settings各種設定4511738%
activerecord項目名・エラー文14563223%
work_packages作業パッケージ146322%
js日常操作の画面328944%
未翻訳は「導入と運用の設定」に固まっている。部門・ワークフロー・ロールは100%英語。個人設定90%、管理画面74%。一方、毎日使う画面(js)で英語のまま残るのは894項目中32項目=4%
つまり立ち上げる人だけが英語を読み、使う人はほぼ日本語で済むという構造です。

7実際に英語で出るラベル

抽象的な率だけでは伝わらないので、日本語ロケールに英語のまま入っている実物を挙げます。いずれも ja.yml の中身そのものです。

ja.yml に英語のまま入っている例
button_confirm“Confirm”(確認ボタン)
button_next“Next”(次へ)
button_select“Select”(選択)
button_complete“Complete”(完了)
button_enable / disable“Enable” / “Disable”
button_remove_permanently“Remove permanently”
my_account.notifications_and_email.title“Notification and email”(個人設定の見出し)
my_account.access_tokens.description“Provider tokens are issued by OpenProject, allowing other applications to access it. …”(説明文まるごと英語)
同じ my_account.access_tokens の中でも「アクセストークン」「操作」「有効期限」は日本語になっています。節ごと未訳なのではなく、項目単位でまだらに残っているのが実態です。

8ドキュメントの言語

製品本体とは別に、公式ドキュメントの言語も確認しました。2026-08-03 時点で openproject.org のドキュメントで選べる言語は次の5つです。

公式ドキュメントで選べる言語(2026-08-03 時点)
English既定
Deutschドイツ語
Españolスペイン語
Françaisフランス語
Portuguêsポルトガル語
日本語は表示されていません。製品UIが78.9%訳されていても、詰まったときに読む資料は英語になります。なお「日本語版が今後も出ない」ことまでは確認できません。確認できた範囲では見当たらない、が正確な表現です。

9料金とエディション

日本語の話とは別に、選定でつまずきやすいのが最低ユーザー数です。

エディション価格最低ユーザー数
Community(セルフホスト)無料
Enterprise cloud / Basic€5.95 / ユーザー / 月25
Enterprise cloud / Professional€10.95 / ユーザー / 月25
Enterprise cloud / Premium€15.95 / ユーザー / 月100
Enterprise cloud / Corporate要問い合わせ250
見落としやすい点

25ユーザー未満のチームは、そもそも Enterprise cloud を契約できません。「安いプランから始めて人数が増えたら上げる」という買い方ができない構造です。小さいチームの選択肢は Community版を自分で立てるか、誰かに運用してもらうかのどちらかになります。

※オンプレミス版も同じ価格体系です。年数を長くまとめると割引があります(例:2年で5か月分無料)。金額はユーロ建てのため、円換算は為替で変動します。

10で、選ぶべきか

この記事は OpenProject を日本語マネージドで提供しているサービスのサイトに置いていますが、売り込みのために数字を良く見せることはしません。実測から言えることはこうです。

日本語の完成度だけで選ぶなら Redmine98.0% 対 78.9%。日本語で困りたくないだけなら、素直に Redmine の方が上です。ここを曲げて薦めることはしません。
ガント・かんばんが標準で要るなら OpenProjectRedmine で同等を得るにはプラグインの組み合わせと、その保守が要ります。ここが選ぶ理由になります。
使う人が多く、設定する人が少ないなら実害は小さい英語が残るのは管理・設定側です。日常画面は96%日本語。設定を誰か一人(または外部)が引き受けられるなら、現場は日本語で回ります。
25人未満なら公式クラウドは選べないCommunity版を自分で運用するか、マネージドを使うかの二択になります。
この数字は動きます

翻訳は Crowdin 上で継続的に更新されます。本記事の数値は v17.6.0・2026-08-03 時点のものです。第2章のコマンドをそのまま実行すれば、いつでも最新の値を自分で確かめられます。古い数字を信じるより、測り直してください。

設定側の英語を、こちらで引き受けます

Projo は OpenProject を日本語・フルマネージドで提供します。英語が残るのは管理・ワークフロー・ロールなど「立ち上げと運用の設定」で、そこはまさに私たちの担当範囲です。

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よくある質問

OpenProjectは日本語に対応していますか?

対応しています。ただし程度に差があります。2026-08-03 に v17.6.0 のロケールを実測したところ、対象5,515項目のうち日本語に訳されていたのは4,353項目(78.9%)で、1,161項目が英語のまま残っていました。日常的に使う画面は96%訳されている一方、管理画面は74%、個人設定画面は90%が英語のままです。

Redmineと比べて日本語化はどちらが進んでいますか?

Redmineです。同じ方法で Redmine 7.0.0(現行の最新リリース)を測ると日本語の翻訳率は98.0%(英語のまま27項目)で、OpenProject の78.9%(同1,161項目)とは約19ポイントの差があります。

日本語だけが遅れているのですか?

主要言語の中では日本語が明確に遅れています。同じ基準で中国語(簡体)98.4%、韓国語98.2%、スペイン語97.4%、ドイツ語96.0%でした。測定した10言語のうち日本語は9位で、下にはオランダ語60.6%しかありません。

どの画面が英語のまま残りますか?

管理・設定まわりに集中しています。実測では departments・workflows・roles の3領域が100%英語のまま、個人設定(my_account)が90%、管理画面(admin)が74%でした。逆に日常操作の画面で英語のまま残っているのは894項目中32項目(4%)です。

公式ドキュメントに日本語版はありますか?

2026-08-03 時点では確認できませんでした。openproject.org のドキュメントで選べる言語は英語・ドイツ語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語の5つで、日本語は表示されていません。今後出ないと断定はできません。

OpenProjectの料金はいくらですか?

Community版は無料です。有償の Enterprise cloud は Basic が1ユーザーあたり月額5.95ユーロで最低25ユーザーから、Professional が10.95ユーロ(同25ユーザーから)、Premium が15.95ユーロ(100ユーザーから)です。25人未満のチームは Enterprise 版を契約できません。

自分でも同じ数字を確認できますか?

できます。第2章に取得コマンドを載せています。en.ymlcrowdin/ja.yml を落として、英語と値が一字一句同じ項目を数えるだけです。タグを v17.6.0 で固定すれば同じ結果が出ます。

この調査は、私たちがオープンソースを日本語のフルマネージドサービスとして提供する(Miqto)ための検討過程で行ったものです。あわせて読む:Redmineが日本で強い理由と、その市場構造「日本語化すれば売れる」は本当か日本人が実際に使っているOSSを実測した

出典

  1. OpenProject 公式リポジトリ(タグ v17.6.0)の config/locales/en.ymljs-en.ymlcrowdin/<言語>.ymlgithub.com/opf/openproject(取得日 2026-08-03)
  2. Redmine 公式リポジトリ タグ 7.0.0(2026-06-30)の config/locales/en.ymlja.ymlgithub.com/redmine/redmine(取得日 2026-08-03)
  3. OpenProject 料金 — openproject.org/pricing(取得日 2026-08-03)
  4. OpenProject 公式ドキュメントの言語切替 — openproject.org/docs(取得日 2026-08-03)

本記事の数値はすべて上記ファイルから機械的に集計したものです。集計対象は「英語ロケールに存在する文字列キーのうち複数形キーを除いたもの」、未翻訳の判定は「日本語ロケールの値が英語と一字一句同じ」です。翻訳は継続的に更新されるため、時期によって数値は変わります。